Posterior Reversible Encephalopathy Syndrome (PRESS)
J Neurol 2017.264:1608-1618
PRESSの症例を経験したので確認してみました。まだ分かっていないことが多く、降圧と原因除去以外に積極的加療が無いですが、可逆性を信じて治療に取り組みたいです。
Summary
病態生理
- 高血圧仮説
- 高血圧により血管透過性が亢進し、血管外に漏出し浮腫を起こすことで生じる。
- PRESSの30%に高血圧が認められないこともある
- 血管内皮障害仮説
- 内分泌物質や毒素により血管内皮が障害されることで生じる。
- 子癇、敗血症、薬剤、免疫物質等が含まれる
- カルシニューリン阻害薬はPRESSの原因となる血管収縮、低Mg血症、高血圧を引き起こす
症状・診断
- 数時間から数週で発症し、様々な神経所見を有し、高血圧の合併が多い
- 検査所見
- MRI: T2, FLAIR, ADCで高信号
- 診断基準案
- 急性発症の神経症状
- 画像で局所的な脳浮腫の所見
- 可逆的な臨床もしくは画像所見
- RCVSも同じ病態生理かもしれない
治療
- 降圧: 25%下げるのを目標に治療
- 原因物質の除去/減量。ただし、抗がん剤を止める、または減らしたとしても予後は変わらなかったという報告もある
- 高Mg血症ならMgを下げる
予後
- 退院時に36%の患者がmRS 2-6
- 84%の患者か完全に回復
- 死亡率は18%
- 採血や髄液所見は予後と関連しないが、MRIの程度と予後は関連する