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2024年の本ランキング

2024年の本ランキング

研究開発の社会実装を考える上で、イノベーションに関する本が非常に多かったのが今回の特徴です。

AI・バイオ・プラットフォームビジネスなど、様々な技術や手法が次々と登場する中、どのように実際のビジネスや社会実装へと繋げていくか――これが多くの書籍のテーマになっていました。その結果、「イノベーション」を意識した本が上位に並ぶ形になっています。

診療や研究で扱う実用書は除き、約50冊くらいが対象になりました。読んだ本の評価を「Exciting(+)」「Novel(+)」「Beneficial(+)」「Practical(+)」「Dropout(-)」の5項目でスコアを付け、合計点が高い順に並べています。

ランキング総評

今回のランキングでは、満点(20点)が3冊ありました。同点1位は複数でしたが、個人的に1位は「イノベーションのジレンマ」、2位は「Think Bigger」、3位は「ミドリムシ博士の超起業思考」でしました。いずれもイノベーションや思考法に関するテーマで、大きな刺激を与えているという点がうかがえます。

その他19点の本も、「あと1ポイントあれば満点」という面白さや有益さが詰まったものばかり。

上位3冊の内容と感想

第1位:イノベーションのジレンマ

  • 得点:20点(Exciting 5・Novel 5・Beneficial 5・Practical 5・Dropout 0)
  • 内容
    世界で最も影響力のある経営思想家、クレイトン・クリステンセンが説いた破壊的イノベーションのメカニズムとは。論理的で正しいだけの経営判断では乗り越えられない、「イノベーションのジレンマ」を解き明かします。大企業が一見優良顧客を大切にし、既存市場に投資しているうちに、小さな新興企業が破壊的イノベーションで市場を奪っていく――そんなジレンマを体系的に解説した本です。
  • 感想
    イノベーションのジレンマという言葉は聞いたことがあったのですが、どのようにして、破壊的イノベーションが生じて行ったのかを理解できました。初期段階、新しい技術はオモチャみたいで役に立たないのですが、それでもニーズを満たせる顧客がどこかにいるので、そのような方々を探し出すことでが重要だということを学びました。徐々に既存の製品の性能に追いつき、新しい技術を持った製品が主流になっていくと。この本に関連して、イノベーションの解、イノベーションの最適解、イノベーションの経済学、イノベーターのDNAを読み、ジョブ理論も再読しました。クリステンセン先生にどっぷりハマりました。

第2位:Think Bigger

  • 得点:20点(Exciting 5・Novel 5・Beneficial 5・Practical 5・Dropout 0)
  • 内容
    世界的心理学者で、経営思想界のノーベル賞とも言われる「Thinkers50」に4度選出された著者による、10年越しの開発メソッドがまとめられた一冊です。前著『選択の科学』以来13年ぶりとなる本書では、「発想する」とは「選び抜く」ことという独自の視点から、私たちのイノベーションの発想のプロセスを大きく変革するための方法論を提示しています。
  • 感想
    シュンペーターが言った新しい組み合わせというイノベーションをどのようなプロセスでやれば良いかというのを選択という視点から語ってくれます。重要な課題を見つけて、サブ課題に対する解決策を領域内と領域外から両方選び、その組み合わせを選択するというのはとても勉強になりました。古今東西の例を使った解説も面白く、さすがアイエンガー教授で読み応えもあります。

第3位:ミドリムシ博士の超起業思考

  • 得点:20点(Exciting 5・Novel 5・Beneficial 5・Practical 5・Dropout 0)
  • 内容
    小さなユーグレナが食料問題や温暖化問題の救世主になり得る可能性を示し、研究成果を社会に実装する重要性を説いた一冊です。東証一部上場を果たしたバイオベンチャー「ユーグレナ社」の成長を支えた研究者・鈴木健吾氏が、研究者としての視点と社会変革を意識した視点を融合させ、成果を実現する方法を解説しています。ロジックツリーやランチェスター戦略などの経営理論を活用し、世界初のユーグレナ食用大量培養を実現し、バイオ燃料市場を開拓した過程が具体的に紹介されています。理系の起業家やスタートアップを目指す方にとって、大変参考になる内容です。
  • 感想
    私が所属する未来型医療創造卓越大学院のイベントで来ていただいた鈴木健吾さんと話しをさせていただき、貴重なアドバイスをいただいたことから読んでみたら、とても勉強になりました。東京大学の大学院時代にどのようにして仮説検証を行い、世界初のユーグレナ大量培養を可能にしていったかというプロセスが非常に勉強になります。特に、演繹的に考えて、ロジックツリーやランチェスター戦略などの経営理論を活用していた点です。

まとめ

今年のランキングは、「イノベーション」「大きく考える」「新しい価値観を創出する」といったキーワードが共通しています。

「イノベーションのジレンマ」「Think Bigger」「ミドリムシ博士の超起業思考」は、どれも 2024年の自分の思考方法に影響を与えた3冊 と言えそうです。これらを読んで、自身のビジネスやキャリアをさらに成長させるヒントを得てみてはいかがでしょうか?

おまけ:全ランキング

診療や研究で扱う実用書は除き、約50冊くらいが対象になっています。

No Name Exciting Novel Benefitial Practical Dropout Sum
1 Think Bigger 5 5 5 5 0 20
2 イノベーションのジレンマ 5 5 5 5 0 20
3 ミドリムシ博士の超起業思考 5 5 5 5 0 20
4 パーソナリティを科学する 5 5 5 4 0 19
5 稼ぎたければ、働くな 5 5 5 4 0 19
6 LIFE SPAN 5 5 5 4 0 19
7 イノベーションの経済学 5 4 5 5 0 19
8 イノベーションのDNA 5 4 5 5 0 19
9 物語 シンガポールの歴史 5 5 5 4 0 19
10 医療機器開発とベンチャーキャピタル 4 5 5 4 0 18
11 サイエンスとテクノロジーの経営学 5 5 5 3 0 18
12 医療機器開発とベンチャーキャピタル 実践編 5 4 5 4 0 18
13 なぜ?シンガポールは成功し続けることができるのか 5 5 4 4 0 18
14 プラットフォームビジネス 4 5 5 4 0 18
15 プラットフォーム革命 4 5 5 4 0 18
16 売り上げ最小化利益最大化の法則 5 4 5 3 0 17
17 ビジョナリーカンパニー 5 4 5 3 0 17
18 ビジョナリーカンパニー② 5 4 5 3 0 17
19 イノベーションへの解 5 4 5 3 0 17
20 イノベーションへの最終解 5 4 5 3 0 17
21 ネットワークエフェクト 4 4 5 4 0 17
22 僕はミドリムシで世界を救うことに決めました 5 4 4 4 0 17
23 プラットフォームレボリューション 4 4 5 4 0 17
24 ビジョナリーカンパニーZERO 5 4 4 4 0 17
25 アントレプレナーの教科書 4 4 4 4 0 16
26 教育は遺伝に勝てるか? 4 4 4 4 0 16
27 解像度を上げる 4 4 4 4 0 16
28 ベイズ統計超入門 4 4 4 4 0 16
29 理念経営2.0 4 4 4 4 0 16
30 Love the problem 4 4 4 4 0 16
31 ジョブ理論 完全解読本 4 4 4 4 0 16
32 ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則 4 4 4 4 0 16
33 医学研究のための因果推論レクチャー 4 5 5 4 2 16
34 海外ドラムで面白いほど英語が話せる超勉強法 4 3 4 4 0 15
35 スタートアップの経済学 4 4 4 3 0 15
36 THE LKY STORY 5 4 4 2 0 15
37 プロ経営者・CxOになる人の絶対法則 4 4 3 3 0 14
38 星のリゾートの教科書 4 3 4 3 0 14
39 医療機器業界のしくみとビジネスがしっかりわかる教科書 3 4 4 3 0 14
40 イノベーションのための超・直感力 4 3 3 4 0 14
41 世界のエリートに読み継がれているビジネス書38冊 3 4 4 3 0 14
42 空腹こそ最強のクスリ 4 3 3 3 0 13
43 シンガポールで見た日本の未来想像図 4 4 4 3 2 13
44 誠実な組織 3 4 4 3 3 11
45 バリュープロポジションの作り方 3 3 3 3 2 10
46 わかりあえないことから 3 3 3 3 3 9