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2023年の読書について
自分の趣味は旅行、読書、ランニングでありまして、暇があれば本を読んでいます。本のジャンルは、ビジネス、サイエンスが多いです。
今年は50弱の本を読みました。読んだ本のほとんどをエクセルににまとめて感想を書きつつ、ランク付けしています。独自の項目で、①Exciting ②Novel ③Beneficial ④Practicalを5点ずつ採点し、合計0-20点で評価しています。
2023年の中で高得点かつ影響を与えた本を3冊ご紹介します。
もしよければ、是非、読んで頂ければ学びになると思います!!
1位 エフェクチュエーション
エフェクチュエーション 著者 サラス・サラスバシー
合計20点(満点) Exciting 5 Novel 5 Beneficial 5 Practical 5
読んだ動機
科学的に検証された優れた連続起業家精神の思考法を学びたかったため読みました。
内容と感想
優れた連続起業家精神の思考法を科学的に分析した本になります。自分の思考のOSが変わるほど、勉強になりました。一般的に良いとされた予測に基づいた考え方のコーゼーションだと、不確実な場面では役に立たないのです。一方で、不確実な状況では、エフェクチュエーションという行動に基づいた思考法が重要であることを知りました。これは起業に関わらず、VUCA時代に生き抜くキャリアにも通じると思います。
具体的には、5つの原則で構成され、手中の鳥、許容可能な損失、クレイジーギルト、レモネードの原則、パイロットの原則というものになります。まとめると、自分たちが持っているリソースやネットワークを利用し行動し、最小限の資金で長く続け試行回数を増やし、自分や周りを巻き込み変化させ、失敗をテコとしてて成長に繋げ、コントロール可能な事象に着目するになります。どれも興味深い内容でした。
実際、これらを使って、てんかん個別医療のプロジェクトを進めています。そして、東北大学ビジネスアイデアコンテスト2023で最優秀賞を取ることができました。もし、起業家の思考法について学びたいという人がいれば、真っ先に、これを読むことをおすすめします。ただ学術書で読むのに時間がかかるので、最近出た入門書でも良いと思います。
2位 運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」
運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 著者 橘玲・安藤寿康
合計19点 Exciting 5 Novel 5 Beneficial 5 Practical 4
読んだ動機
個別化医療を学ぶ中で、遺伝が行動に与える影響を調べる行動遺伝学という分野を知り、それについて学びたかったため読みました。
内容と感想
好きなベストセラー作家の橘玲と、行動遺伝学の第一人者の安藤寿康が知能格差社会の真実から遺伝的な適性の見つけ方まで徹底的に論じる本です。行動遺伝学が明らかにしたのは、人間社会のあらゆる面を「遺伝の影」が覆っており、それから誰も逃れられないという不条理な事実です。それは、知性、能力、性格、そして運まで影響を与えていて、おおよそ50%にもなります。
これらは恐ろしい事実ですが、今まで思っていた様々な疑問(兄弟で性格などがなぜこんなに違う?同じ勉強量で頑張っても、成績が全然違うのはなぜ?精神的特性が家族で似ているのはなぜか?)が説明できるようになりました。これらの知見から、いかに遺伝的な特性を活かせる環境を選択するかが重要だと思いました。面白いのが、年を取れば取るほど、環境よりも遺伝的な特性が出てくるということです。これは、無意識に自らに合った環境を選んでいることに起因していると考えられます。
また、自分が何かに興味を抱くということ自体、遺伝的な特性である可能性が高いです。そのため、自分の内なる声に正直になり、まず興味のあることを試し、上手くいくことに注力するのが大事だと思いました。上手くいくかは分かりませんが、試行回数を増やして、実際に試すことが大事です。もし、自分が自然に出来て結果も出ることがあれば、それが向いていることであり、それらに投資します。そして、それらをいくつか組み合わせることで、独自の強みを生むと思います。
自分の場合、①てんかんを専門とする脳神経内科医x②臨床研究x③ビジネスというものを掛け合わせようと思っています。脳神経内科医としてはてんかんを専門としてハイレベルで治療でき、臨床研究ではRCTを行え、ビジネスではスタートアップをエグジットできるというような形です。それらができたら、おそらく日本で唯一の人材になりますし、世界でもほとんどいないと思います。
3位 横井軍平ゲーム館
横井軍平ゲーム館 著者 横井軍平・牧野武文
合計19点 Exciting 5 Novel 5 Beneficial 5 Practical 4
読んだ動機
エフェクチュエーションで紹介されていたコストの低いありふれたものや余剰資源から始めるという考え方が、枯れた技術の水平思考に通じており、枯れた技術の水平思考を編み出した横井さんの思考法を知りたかったからです。
内容と感想
横井さんの開発歴史を追体験しながら、どのようにして、トランプを売る会社であった任天堂が世界的なゲーム会社になるまでの商品開発力を磨いていったかを学べました。
横井さんは、下記の言葉を言っていました。
「売れることに徹すること、技術者の見栄を捨てることが、私の開発哲学です。」
「技術者になるな、プロデューサーになれ。」
「プロデューサーに必要なのは、専門知識ではなく、ものの根本の理屈。 」
上記の言葉から、技術重視ではなく、何が楽しいのかというアイデアで勝負することの大切さを改めて学ばさせられました。技術やスペックを高めれば売れるというのは、独自のアイデアを考えていない証拠であり、コストもかかることです。安くなってきた技術を必要最小限用いて組み合わせて、オリジナルな娯楽を作るという姿勢は、研究やビジネスにも応用が効くと思います。
必要最小限で成果を上げられるアイデアというのが肝心で、最近は、いかに良いアイデアを発想できるかということを常々考えています。別の本ですが、スタンフォード大学のDスクールの考え方であるアイデアフローはとても参考になりました。
2024年に向けて
来年はどんな本を読めるかワクワクしています!
あと、自分が担当した医学書もいくつか出版される予定です。乞うご期待ください!