2024年の振り返り
2024年を振り返るブログを更新しました。臨床、研究、社会実装に取り組む中で、たくさんの方々に支えられながら新しい挑戦を続けることができました。この場を借りて、皆さまに心より感謝申し上げます。
臨床
2024年は、東北大学病院てんかん科において入院患者の担当、院内の脳波判読、そして外勤での臨床業務に携わりました。診療の中心はてんかんで、日々新しい症例を経験し、とても勉強になっています。
なかでも、難治性特発性全般てんかんへのアプローチに関心があり、ポリジーンリスクスコア(polygenic risk score: PRS)の視点から患者さん一人ひとりに適した治療戦略を考えることに取り組みたいと思っています。
また、遅ればせながらJ-OSLERでの病歴要約登録が完了したため、来年は専門医試験を受験する予定です。J-OSLERの導入によって専門医取得が難しくなったという話も耳にしますが、しっかりと準備を進めていく所存です。
研究
今年は社会実装(事業化)に力を注いだため、論文の出版が減ってしまいました。とはいえ、2024年の成果としては以下のとおりです。
- 出版論文:5本
- アクセプト済み:1本
- 査読中:3本
来年はさらに研究成果を増やすことが目標です。
本年度は、ヨーロッパてんかん学会への参加や日本てんかん学会での座長担当、英文ジャーナル委員会への委員選出など、新たな学術的チャンスをいただきました。2024年度大沼賞(てんかん医療志向若手育成事業)を受賞することもできました。
私の博士課程の研究テーマはゲノムを中心としたオミックスを活用した個別化医療ですが、これまでは発作型や脳波の評価が中心で、ゲノム研究の知識が不足していると感じる場面も多々ありました。それでも少しずつ理解が深まり、博士課程のPRS研究は順調に進んでいます。ゲノムと脳波の統合を模索しています。来年は複数の論文公表を目指しており、わくわくしています。
また、脳波判読に関するRCT(ランダム化比較試験)の実施も計画中です。ゆっくりですが、着実に前進していると感じています。
社会実装
私が取り組んでいるのは、難治性てんかん患者さんに対する薬剤選択を支援する「個別化医療」の社会実装です。2024年は下記のように多くの支援や実績を得ることができました。
- みちのくGAPファンドSTEP1特別枠(1,000万円)の採択
- Miyagi Innovation Base 準優勝
- MedTech Angels Season 4 採択
- MiTOHOKU 採択
- クラウドファンディング:サードゴール達成(356万円)
これらは大変ありがたく、特にクラファンでは多くの支援をいただき、本当に感謝しています。また、パリやシンガポールでの研修機会も得られて多くを学ぶことができました。一方で、社会実装に向けた事業戦略は不確実性が高く、Pivot(方向転換)を繰り返しています。事業化の経験が浅いこともあり手探り状態ですが、書籍やメンターのサポートを受けながら少しずつ成長していると感じています。来年はMedTech Angelsでのメンタリングを軸に、下記のゴールを目指します。
- MVP(Minimum Viable Product)の完成
- 必要なアドバイザリーとの交渉
- 事業化計画の具体化
- トラクション(実績・成果)の獲得
その他
プライベートでは、Jexerというジムへ本格的に通い始め、バーベルを使ったハードなプログラム「Bodypump」にも参加するようになりました。おかげで筋力が付き、体重は約4kg増量しました。今後も継続し、健康的な身体づくりを目指したいと思います。
旅行では、インドネシアのバリ島に行き、約7年ぶりのリゾートを満喫しました。リゾート地は非常にリフレッシュになり、来年はダナン(ベトナム)やセブ(フィリピン)にも足を運んでみたいと思っています。
来年に向けて
来年は博士課程の研究を最優先に、以下の目標を達成していきたいと考えています。
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臨床
- 日々の診療を継続しながら、専門医の取得を目指す
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研究
- PRS研究や脳波のRCTの成果をまとめ、学会発表・論文出版へつなげる
-
社会実装
- MedTech Angelsのメンタリングを活用しながらMVP完成、アドバイザリーとの交渉、事業化内容の具体化を進め、
トラクションを得る
- MedTech Angelsのメンタリングを活用しながらMVP完成、アドバイザリーとの交渉、事業化内容の具体化を進め、
以上が2024年の振り返りと、来年に向けた展望です。ご支援いただいた方々には本当に感謝しています。引き続き、医療現場・研究・事業化の三つの領域で前進し、難治性てんかんの個別化医療の実現に貢献していきたいと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。