思い出

Deep-tech Designer’s Program

今回のプログラムの概要

Deep-tech Designer’s Programは、東北大学が主幹校を務めるMASP(Michinoku Academia Startup Platform)の実施する海外アントレプレナーシッププログラムの一つです。MASP10大学から応募したチームから数チームが選出されます。そして、Deep-Tech分野で世界屈指のエコシステムを形成しているパリで、長年にわたってDee-Tech ventureのケーススタディやコーチングを実施し、多くの起業家を世界中に排出しているBruno Martinaud教授(エコール・ポリテクニーク)と共に3ヶ月のオンラインコーチングと1週間のパリ研修でDeep-Techベンチャーのノウハウを学びます。

オンラインコーチング

Martinaud教授が作成したオンラインプラットフォームを利用して、3ヶ月に渡って月1回のオンラインコーチングと課題提出を行います。具体的には、deep techに必要なearly stageの考え方であるcconfirmation of the opportunity、cconfirmation of the ability to execute、mapping the territoryについてステップ毎に学び、最後にピッチの仕方を学びます。課題の設定、そして、それに対する解決策の選定方法がとても勉強になりました。

パリの研修

概要

パリでは4日間に渡ってパリのDeep-tech ecosystemについて学びます。フランスは起業文化が乏しく産業の空洞化が進んでいたところ、投資銀行出身のマクロン大統領が2013年に始めたLa French Techというエコシステム作りによって一気に起業大国に変わりました。ユニコーン数が0でしたが、2023年には36社(日本12社)になりました。そのエコシステムを学ぶため、インキュベーションセンター、VC、大学、イノベーションの歴史館を訪れました。

Agoranov

Agoranovはフランスで20年に渡ってDeep-tech ベンチャーに特化して支援を行っていた老舗のインキュベーションセンターです。昔の大学の校舎を改装した趣きのある建物で、数々のスタートアップが切磋琢磨を行っています。5つのユニコーンを創出し、3つのユニコーン候補がいます。東北大学がまだユニコーンを創出したことがないことを考えると凄いなと思います。午前中に講義、スタートアップのピッチを聞いて、午後に自分達がピッチを行いました。ディレクターの話では、Individual Coachingがとても大切だと言っていて、経験のあるメンターのアドバイスが一番大事だなと思いました。我々は、前日の夜までピッチの準備を行い、発表自体は上手く行きました。フィードバックを様々もらえてとても参考になりました。

Pari Sante Campus

Pari Sante Campusは比較的新しいデジタルヘルスケアに特化したインキュベーションセンターで、近代的でオシャレな建物の中、80社が入居しています。日本にはヘルスケアに特化したインキュベーションセンターが無い中で、デジタルヘルスケアだけに特化して、このような大きい施設を作ったことに驚きです。政府が創立に力を入れていたため、今後の成長市場への期待が伺えます。スタートアップのピッチを聞いて、ランチも一緒に食べました。自分の専門領域のため、どのピッチも聞いていて面白かったです。Deep-tech、SaaS的なサービスまで色々とありました。

Paris technology museum

Paris technology museumでは、産業革命付近からのイノベーションの歴史を学びました。エンジン、飛行機、自動車、自転車などの今となっては当たり前のものがどのように生まれて発展していったかを知ることができました。イノベーションを学ぶには、デモンストレーションが大事という観点で、実物から色んな機能や他との違いを教えてくれて楽しかったです。

Station F

Station Fは世界最大のインキュベーションセンターで、1000社が入居しています。フランス通信大手のIliadの創業者であるグザビエ・ニール氏が元々駅舎であった場所を購入し、スタートアップのエコシステムを構築するために私財2億5000万ユーロを投資して作った世界最大のスタートアップキャンパスです。その全長はエッフェル塔を横に倒した時と同じくらいの大きさです。Apple、Metaなどの企業、École polytechnique、HEC Parisなどのトップ大学とのオープンイノベーションも参加に行われています。様々なインキュベーション/アクセサレータープログラムも行われています。食事エリアは音楽フェス会場のような感じでとても楽しそうな雰囲気でした。ワーキングエリアにも随所オシャレなものがあり、遊ぶように働き、働くように遊ぶ雰囲気で、こんなところで働いてみたいと思います。

XAnge

XAngeはパリで20年以上も投資を行っているトップVCからVCの成り立ち、どのような起業家に投資をするか、重要な点などのレクチャーを受けました。印象的だったのは、起業家は10種競技のように全ての面を知っていなくてはならないことです。さらに、キュリー夫人とエジソンとの比較をして、科学技術に加えて、社会実装する力がないと投資家は投資しないとことです。研究者がCTOでなく、CEOになる場合、ビジネス的側面も理解し、全ての側面でチームを引っ張らないといけないだと理解しました。

École polytechnique

École polytechniqueはフランスで第一位の理工系大学で、3名のノーベル賞受賞者、1名のフィールズ賞受賞者、3名のフランス大統領、複数の企業CEOを輩出しています。Deep-tech startupの創出にも力をあげていて、インキューベーションセンターや大学の見学を行い、現地のスタートアップのピッチも見ました。3Dプリンター等によるプロトタイピングでは、perpleのプレートも作成出来てとても良いお土産になりました。

アフターファイブ

パリの研修は夕方で終わるため、夕方以降、芸術や食事の面でパリを満喫しました。オランジェリー美術館、オルセー美術館では大好きな印象派の絵画を鑑賞し、エッフェル塔、凱旋門等も見られました。一般的なビストロの食事はどれも美味しく、プログラム参加者と色んな議論も出来てとても有意義でした。最終日にはルーブル美術館行けて、モナリザ、ミロのヴィーナスも見られてとても良かったです。

まとめ

この数ヶ月に渡るプログラムは非常に充実していて、大きく成長できたと感じました。このプログラムに参加する時、我々はプロジェクトのアイデアだけでした。その後、コーチングセッション、自分達による学び、東北大学ビジコンを経て、課題の深掘り、課題と解決策の仮説を立てることができました。特に、課題の深掘りが進みました。しかし、課題の深掘りは進んだものの、解決策が仮説レベルなので、今後、研究を進めてシーズの強さを磨いていかないといけないと思いました。ピッチに関しても、海外のピッチ大会へ出場して自分達のレベルを上げていきたいです。また、様々な起業家の話を聞いて、自覚や責任が芽生えてきました。今後、世界へチャレンジする際の戦略をより具体的に考えていきます。