USMLE Step2 CSは2017年の改正に伴って難しさが増して日本人の鬼門となっています。
CS対策として受験する人が多いKaplan USMLE Step2 CSの模試を本番2カ月前に受けたので、その内容を記載します。
結論から言うと、高額ですが、本番の様子、弱点と改善点を知る良い機会でした。
要点まとめ
- Kaplan模試は本番の様子を知ることと弱点把握に役立つます
- 模試自体が合格率を上げるものではありません
- 模試は本番直前ではなくて余裕をもって受験することをお勧めします
Contents
私の模試受験前の勉強状況
手稲渓仁会病院で医学英語講師を務めるDavid先生と約5ヶ月のマンツーマンレッスンをしています。
日本にいる時は実際に会ってしていましたが、渡米後はスカイプで行っています。
現時点で終了した症例はFirst Aidの32例になります。
レッスンでのフレーズをまとめつつ、ANKIを使用して毎日フレーズを練習している形です。
予約
インターネットのサイトに記載してある電話番号に電話をかけて予約します。(オンライン予約を出来るようにして欲しいですね。)
模試受験2カ月前くらいに予約しました。
電話越しに予約可能な日程を確認して予約します。
クレジット番号を伝えて15万の支払いを行います。
予約が完了すると、メールが届きます。
直前の1-2週間前に再度メールが届きます。
会場やホテル
クリーブランドから近いシカゴで受験しました。
シカゴのオヘア空港から電車(行き5$、帰り3$)で40分くらいかけてダウンタウンに向かいます。
リフトやウーバーを使わなくても大丈夫です。
電車は10分間隔に出ています。
シカゴのダウンタウンは高級ホテルが沢山ありますが、モーテルに宿泊しました。
シカゴは電車も街中の歩行も比較的安全です。(油断は禁物)
当日
全体の流れ
7:00 集合
7:15 説明
7:30 12ケースの模試開始。3ケース毎に10分か45分の休憩。
14:00 模試終了
14:45 講師と12症例のケースレビュー
17:30 講師と1対1で相談。相談が終了次第解散。相談の順番は早い者勝ち。僕は2番目で18時に終了。
集合
全体で10名程の参加でした。
カナダ、カリビアン、アメリカ、他国?の医学生が混ざってる感じです。
模試開始
本番と同じように15分の診察、カルテ書きの流れです。
一般的なケースがメインで、breaking bad newsが一例、Private Concern (ED)が一例でした。小児はありませんでした。
全体的に不愛想な人が多い印象です。
ケースレビュー
模試の後に、講師と共に12症例を振り返ります。
最初に、Door Informationの確認 と 予め鑑別診断を挙げることを強調されます。
何故なら、Door Informationには身体診察をしてはいけないと書いてある場合があります。あと、鑑別診断が思いつかないと、的を絞った質問を出来ないからです。
1-12症例の振り返りは主にPatient Noteの内容になります。
勉強になりますが、少し長すぎで的を得ていない講義に感じます。
個別の成績振り返り
12症例全体の成績と症例毎の成績が記載してある合計91ページのレポートをくれて講師と振り返ります。
このフィードバックはとても参考になりました。
私の成績は合格ラインには届かないが、頑張れば届くかもしれないという成績でした。
具体的には、CIS 73%(合格安全ライン80%), SEP 69%(合格安全ライン80%), ICE 34%(合格安全ライン40%)でした。
以前に受験された方々から聞いていた緑(合格確実)、黄色(合格~不合格)、赤色(不合格)の記載はありませんでしたが、おそらく黄色(もしくは赤)になるのではないかと思います。
予想してた範囲内かそれより悪いくらいです。
成績の内容
症例毎にチェックリストがあり、減点方式に成績が決まります。つまり、過ちをおかさずに過不足無く行う能力が求められます。
しかし、SPによってかなり評価が異なります。例えば、SEPが満点100%な時があれば、SEP50%の時もあります。
内容としては、非言語・言語を合わせたコミュニケーション能力を測るCommunication Interpersonal Skills (CIS)、英会話能力を測るSpoken English Proficiency (SEP)、診療能力を測るIntegrated Clinical Encounter (ICE)の三項目に分かれます。
Communication Interpersonal Skills (CIS)
チェックリストでよく引っかかっていた項目を挙げます。
-
診察中に患者の疾患への理解や気持ちを確認していない
-
医学的診断名を伝えていない(Hyperthyroidism を hormonal imbalanceと伝えたら減点されていました)
-
ガウンを解いてもらった後の掛け直しが出来ていない
-
ドレープの仕方が下手
その他にも
-
Empathy がたりない
-
ネクタイしていない
-
似た質問をしてしまう
-
略称をつけていない
具体的に改善できる内容なので、参考になります。
しかし、ドレーピングは本番では求められていないらしいので、実際との解離があります。
Spoken English Proficiency (SEP)
Kaplanの独自の点数項目があり、SPがおかしい感じた部分が減点方式で引かれていきます。
結論から言うと、発音が悪い、患者が理解出来ない、単語の選択ミス、私の言葉を聞くのに苦労するというものが問題でした。
つまり、患者が不快と感じたら減点されます。
具体的に、減点された項目を記します。
(減点された症例の数/全症例数) 採点項目
0/12 Pronunciation (Basic proficiency point)
10/12 Pronunciation (Mastery point)
0/12 Word choice (Basic proficiency point)
6/12 Word choice(Mastery point)
0/12 Patient understanding (Basic proficiency point)
9/12 Patient understanding(Mastery point)
1/12 Listener effort (Basic proficiency point)
7/12 Listener effort (Mastery point)
0/12 Doctor understanding of patient (Basic proficiency point)
2/12 Doctor understanding of patient (Mastery point)
Integrated Clinical Encounter (ICE)
ICEは身体診察とカルテの内容で成績が決まります。
私の場合、身体診察はギリギリで、カルテがアウトでした。
身体診察はガウンと診察台が異なることから上手く適応できずに不十分な診察になったこと、タイムマネジメント不足で十分な所見が取れなかったこと、ガウンやドレープの扱い不足が挙げられます。
カルテが良くなかった原因として、適切な医学英語を使用していないこと、鑑別診断の根拠となる所見の記載不足が挙げられました。
日本語では分かる疾患や所見もとっさに英語で出てこないことがあるからです。
さらに、所見の書き方では出来るだけたくさん(陰性所見も)の記載を求められていたからです。
今後の対策
今までのやり方ではダメだということが分かり、三つの項目毎に具体的な対策を述べます。
CIS
-
患者の名前の呼び方に略称を必ずつけること
-
Empathyの表現を復習して改善すること
-
患者の理解や希望を毎回確認すること
-
具体的な医学用語を用いた診断名を伝えること
-
ガウンテクニックや診察台のテクニックを身につけること
SEP
-
David先生のスカイプレッスンで発音を確認してもらいながらフレーズの完璧な暗記
-
ゆっくりはっきり喋ること
-
アメリカ生活で可能な限り耳を鳴らしてリスニング力を強化すること
やはり、日本人の鬼門になるSEP対策の王道は完璧なフレーズ暗記とゆっくりはっきり喋ることにあると思います。
なぜなら、私の減点ポイントの多くは不適切な発音と単語選びによるものだからです。
その対策には、発音とフレーズの強化にはUSMLE対策に慣れていて、細かく教えてくれる先生が必要だと思います。
手稲渓仁会病院出身者ならDavid先生、それ以外ならコンソシオなどになるのではないでしょうか。
そのような先生に教えてもらいつつ、ANKIなどでひたすら暗記していくことだと思います。
ICE
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おろそかにしていたスカイプレッスン後のカルテ記載を毎回おこない振り返ること。
-
アメリカで臨床経験のある人や外国人との実践練習
-
実際のガウンやドレープを使用して本番に似せること
-
キーボードをアメリカ仕様へ変更
- 鑑別診断の強化
- アメリカで使用されている薬物名の暗記とスペリングの強化
今後の受験に関して
2ヶ月後の本番をキャンセルして、再度予約し直すことにしました。
他の先生方の体験談からすると私くらいの成績でも受験されていた方もいらっしゃるようですが、下記の理由から辞めることにしました。
理由
-
最近の日本人の合格率の低さから、無理して受験するのは得策ではないから。
-
発音やリスニングに改善が必要で、アメリカ生活を続けて口と耳を慣らすため。
-
STEP 1の点数が低いので、CSに落ちたらかなり厳しい状態になるため。
要点まとめ
- Kaplan模試は本番の様子を知ることと弱点把握に役立つます
- 模試自体が合格率を上げるものではありません
- 模試は本番直前ではなくて余裕をもって受験することをお勧めします