ボルティモアで開催されたAmerican Epilepsy Society:AES 2019 アメリカてんかん学会で発表してきました。
発表も無事に終了したのに加え、新しい知見、新しいネットワークを得られた非常に良い機会でした。
その内容を振り返ります。
Contents
American Epilepsy Society:AESとは何か?
アメリカてんかん学会は国別では最も大きいてんかん学会で、様々な国から参加者・発表者があつまる学会です。
毎年12月に大きな総会が開催されて今回はBaltimoreで開催されました。
各国から5000年以上があつまりました。
新しい知見
本学会ではとても面白い新しい研究について様々な発表がありました。
その中から3つピックアップします。
ネットワークとしててんかん診療
てんかんはFocalな病気に加えてネットワークの病気という視点が強くなってきています。
なぜなら、Epileptogenic zoneだけでは説明できない症例がいるからです。
今後、画像、ネットワークの解析、Semiologyとの情報統合が進むにつれて全く違った捉え方が生まれることが予想されます。
非常にホットな分野なので動向を伺います。
SEEGがメインとなるてんかん手術
アメリカではグリット電極が主流でしたが、SEEGに代わって来ています。
例えば、当院のUniversity Hospitals of Cleveland Medical CenterでもSEEGがメインになっています。
手術例では、Radio frequencyでhippocampal transectionと同様のことをやっています。
恐らくこのminimum invasiveの流れはどんどん発展していくと思います。
PNESの治療効果
脳神経内科と精神科の両方が見たがらないPNESに対しても多面的な取り組みがされてきていて、良好な治療成績も発表されてきています。
具体的には、PNESの専門クリニックがあり、脳神経内科、精神科、臨床心理士が各々で診察し、情報を集めて議論し長期間の認知行動療法を行うものです。
発作頻度、救急外来受診率、QoLの上昇に優位な差がみられていました。
脳神経内科と精神科の狭間で見捨てられがちなPNESの診療が進むことは大変喜ばしいです。
新しいネットワーク
今回の学会での最大のメリットは新しいネットワークの構築でした。
日本、海外で新しい素晴らしい繋がりを得られました。
日本の先生方
日本の大御所の先生から若手の先生まで多くの先生方とつながりを持つことが出来ました。
特にこれからの日本のてんかん診療を担うであろう若手の先生方と繋がれたのは貴重でした。
ロンドン、ボストン、デトロイト、クリーブランド、横浜、札幌と様々な若手日本人医師が集っていて非常に貴重な繋がりです。
そして、日本の若手の会にも参加して、今後は世話人として協力していきたいと思っています。
具体的には、2020年のアジアオセアニアILAEでの協力です。
Yong Epilepsy Society ILAE
実りの多いポスター発表
まとめ
新しい知見、新しいネットワーク、独創的な研究の発表の経験を得られて素晴らしい機会でした。
今後は、研究、マッチングの準備、ネットワークの構築、YES_ILAEの協力を引き続き取り組んでいきます。