脳神経内科

小児CTの放射線被爆と発癌リスク

Pediatric Computed Tomography and Associated Radiation Exposure and Estimated Cancer Risk
JAMA Pediatr. 2013 Aug 1; 167(8): 700–707.

ERで小児の親から被爆リスクについて聞かれることが多々あり,CTでの癌発症リスクの論文を読んでみました.やはりCTにより癌発症リスクは上昇するため,とくに少女の腹部CTには注意して,必要な線量を選定することが大事であることが分かりました.

Summary

  • CT使用は5歳未満の子供で倍増し、1996年から2005年の間に5歳から14歳の子供で3倍になり、2007年まで安定してから減少した。
  • 有効投与量は1回のスキャンにつき0.03〜69.2mSvの範囲で変化した。腹部/骨盤CTの14〜25%、脊柱CTの6〜14%、胸部CTの3〜8%で有効な線量が20mSv以上であった。
  • 固形癌の予測される生涯寄与リスクは、若年患者および少女、ならびに腹部/骨盤および背骨CTについてより高かった。女子では、年齢に応じて、300-390回の腹部/骨盤CT、330-480回の胸部CT、および270-800回の脊柱CTから一つの固形癌が生じると予測されている。白血病のリスクは、小児の頭部CTで1.9万分の1で最も高かった。アメリカ、頭部、腹部/骨盤、胸部、脊柱の400万人の小児CTが毎年4870人の将来の癌を引き起こすと予測されています。用量の最大25%を中央値まで減らすことは、これらの癌の43%を予防する可能性がある。腹部CTに関しては腹部エコーに代替することが重要である。
  • 放射線量の変動性の高い小児CTの使用の増加は、多くの小児に高用量の放射線を受けさせる結果となった。最高用量の1/4を目標とした用量減量戦略は、放射線誘発癌の数を劇的に減らすことができる。

Table 1. 有効線量と臓器別線量の中央値

この表から25th percentileを目標にオーダーする

 

Table 2. CTによる固形癌と白血病の生涯寄与リスク

 

Table 3. アメリカでの放射線による固形癌数(3種類放射線量別)