2週目は正常脳波波形と異常に見える正常脳波を主に学びました。
今までモヤモヤしていた「これは異常なのか?正常なのか?」という疑問がかなり整理されました。
丁寧に教わりながら脳波を紐解くと、根拠を持って異常か正常かを判断できるようになります。
それでは、2週目の概略を振り返ります。
今週のスケジュール
今週は正常脳波とArtifact/Normal Variantsについてがメインです。
その他に、Social Issue, Driving, Women, Neuroimmunologyについて学びました。
Normal EEG
Delta, Theta, Alpha, Beta, Hyperventilation, Photic Stimulationを細かく教わりました。
その後、Alpha Waveの亜型であるSlow Alpha, Fast Alpha, Alpha Waveに似た波形のMu Waveについて学びました。
写真は実際の脳波をつけるデモンストレーションです。
被験者はPGY3のレジデントです。
日本の病院との違いは
① 10-20の長さをすべてメジャーで測定していたこと
② 脳波のリードがディスポーザブルなこと
でした。
Artifact
脳波に混入する様々なArtifactを学びました。
合計で23種類あり、PhysiologicalとNonphysiologicalの二種類に大別されます。
筋電図と眼球運動が多いのですが、一見すると異常波形のように見えることもあります。
Parkinson’s Diseaseの振戦が異常なTheta波のようにみえるのが面白かったです。
下記が内訳になります。
Physiological
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Eye movement:
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Vertical
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Horizontal
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Oblique
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“Glass eye”
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Nystagmus
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ERG
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EKG
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Normal QRS waves
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Pulse artifacts
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EMG
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Lateral rectus
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Single motor units
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Frontalis
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Temporalis
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Swallowing
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Glossokinetic
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Tongue movement
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Galvanic Skin response
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Perspiration
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Movements (physiologic)
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Tremor
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Nonphysiological
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Instrumental artifacts
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60 hz
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Electrostatic
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Electrode artifacts
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Electrode “pop”
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Electrode placement
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Salt bridge
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Environmental
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IV drip
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Phone
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Normal Variants
正常だけど異常波にみえるNormal Variantsを学びました。
習ったNormal VariantsはSSS, Wicket Spikes, 14 and 6 positive spikes, psychomotor variant, SREDA, Lambda waves, Hypnogogig Hypersynchrony, Breach phenomenonになります。
かなり紛らわしいNormal Variantsがあるため、脳波を一つ一つ丁寧に見ながら習得していきたいと思います。
てんかんと運転
てんかんと運転の関係を過去の文献をレビューしながら学びました。
日本のやり方は科学的な根拠が不明瞭なことと、米国では運転免許の許可が州によって大幅に異なることが分かりました。
日本では科学的根拠が不明ですが、運転許可には2年間のSeizure Freeが必要です。
一方、アメリカでは3カ月~12カ月と幅があります。
なぜなら、3カ月と12カ月で事故の発生率が変わらなかったという研究(Drazkowski JF, et al Mayo Clin Proc. 2003)と、3カ月→6カ月→12カ月になるに従ってOdd ratioが下がったという研究( Krauss G, et al. Neurology 1999;52:1324-1329)の相反する結果があるからです。
このため、州によって運転許可に必要なSeizure Freeの期間が異なります。
運転許可は、Seizure Freeの期間だけでなく、てんかん発作発生リスク、てんかんの種類も加えて総合的に判断されます。
下記はAAN, AES, EFの意見をまとめたUptodateの資料になります。
UptodateのDriving restrictions for patients with seizures and epilepsyより引用
てんかんと女性
妊娠とてんかんの関係、抗てんかん薬の影響、周産期の管理について学びました。
主なポイントは下記の5つになります。
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妊娠可能年齢前からカウンセリングを行う
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妊娠可能年齢での治療は単剤投与を目指し、なおかつ、バルプロ酸、フェニトイン、フェノバルビタール、プリミドン、トピラマート、カルバマゼピンを避ける
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妊娠中は毎月のAED測定に加え、葉酸とαフェトプロテインの測定、18週目の超音波検査を行う
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出産前後では発作の増悪に注意する
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出産後、授乳は可能だが、血中濃度に注意する
てんかん診療ガイドライン2018 より引用
Next Week
来週はいよいよLuders先生によるてんかん波のレクチャーです。
とても楽しみな反面、緊張します。
しっかり習得できるようにベストを尽くします。
エレベーター内で脳波について議論していた一コマ