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2019 Summer EEG/Epilepsy Course 1週目

この1週間だけでも来る価値があるのではないかと思わせるほど、とても勉強になる1週間でした。

なぜなら、脳波を基礎から読み解く方法を双方向的なディスカッションを通して深く学べたからです。

一週間の概略について述べます。

EEG/Epilepsy Courseとは?

Case Western Reserve Universityの大学病院であるUniversity Hospital Cleveland Medical Center(以下UH)で年2回(夏と冬)開催される2カ月間の脳波読影特訓コースです。

Luders先生がCliveland Clinicで開催し、その後、University Hospital Cleveland Medical Centerで継続されているものです。脳波読影に必要な基礎から応用までの知識と技術を徹底的に学ぶコースです。この2か月間のコースの後にリサーチフェローの仕事がはじまります。

京都大学の池田先生を初め,日本のてんかん診療を引っ張る先生方々が受講している歴史と実績のあるコースになります。

 

国際色豊かな参加者

参加者は様々な国から集まった医師 (International Participant)17名に加え、UHのレジデントが10名程度です。

International Participantの内訳はインド4人,パキスタン4人,日本2人,アメリカ1人,スペイン1人,ナイジェリア1人,ケニア1人,エジプト1人,ヨルダン1人,トルコ1人でした。とても国際色豊かです。アジア、アフリカからの参加者が多いです。直ぐに溶け込めてとても楽しいメンバーです。

全員がMDで,卒後1年目から卒後15年目程度まで様々です。卒後数年か母国で神経内科の専門医を取る前後の人が多いです。

特に、インド人やパキスタン人はアメリカでのマッチングを考えている人が多いです。なぜなら、UHにマッチしたEEG Courseの卒業生が多いことに加え、CVの見栄えをよくできるからだと思います。

基礎から応用の講義内容

1週間単位で基礎から応用に徐々に移行していきます。

1週目は正常脳波の見方について学びました。まずは、Montage、年齢、覚醒状態、Normal Variants/Artifact、EEG Classification、Clinical Impressionの順番で脳波を読めるように教わります。

Montageの見方に脳波の成り立ちが凝縮されているため、まずはMontageを判断するための基礎知識と見方を学びました。今までいかに無知だったかを知らされました。その後、年齢、睡眠脳波について学びました。

毎日の宿題

毎日、10秒の脳波、30分の脳波の2つの宿題があります。

10秒の脳波はSensitivity, TC, HFの情報と波形だけです。そこからMontage、年齢、覚醒状態、Normal Variants/Artifact、EEG Classification、Clinical Impressionを解答します。普段の診療では、Montageが既に分かるため、最初は戸惑いました。しかし、Montageを理解する過程で、今までの無知さに気づかされてとても勉強になります。Montageを理解することで、脳波の仕組みをしっかり理解することができます。

30分の脳波の宿題では、各々が実際の脳波読影レポートを作成します。年齢、覚醒状態、Background Activity、EEG Classification、Clinical Impressionを記載します。普段の臨床に近い感じです。以前の病院ではReferentialが標準でしたが、UHではBipolarのダブル・バナナが標準になっているため、なれるまで時間がかかりました。こちらも実践的で大変勉強になります。

双方向的な授業 

受講者からバンバン質問が来てとても双方向的なことに驚きました。どんな些細な事、日本では恥ずかしいと思ってしまうであろうことも、遠慮なく聞いてきます。それらが、他の受講者にも勉強になるのです。

発言して失敗するよりも、理解していないことの方が最も恐ろしいことなのだと気づかされます。私も一番前の席で質問をしています。日本の教育現場もこうなったら良いのになと心からと思います。

Epilepsy Conference

Epilepsy Conferenceは、Clinical Epilepsy Fellowが症例や脳波を発表して、Luders先生が受講生と一緒に脳波を紐解いていくスタイルです。Luders先生の深い知識と経験から来るレクチャーはとても勉強になります。

EEG Classification, 手術部位決定のモデルを築いたレジェンドから学べる機会は本当に貴重です。Luders先生は高齢であと何年続くか分からないため、レクチャーの一つ一つがとても貴重です。ティアニー先生にとても近い感じがします。

さて、これからは

徐々に応用的な内容になっていきます。日々の宿題に加え、中間テスト、期末テストが待っています。まるで医学部の大学生です。日々、しっかり学んでいきます。これからも楽しみです。