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はじめに
USMLE STEP2 CKはSTEP1に継ぐ重要な試験であり、さらにSTEP1がfail or passになって以降、とても重要な試験になります。特にIMGにとっては、AMGを含む他のアプリカントと差別化を図るうえで、高得点をとるのが望ましいとされます。コネ、推薦状等で差別化を図るものが無い場合、STEP2 CKのスコアは武器になります。
日本人にとって、USMLE 2 CKはSTEP1より取り組みやすいですが、高得点をとるには決して簡単な試験ではありません。なぜなら、短時間で長文の英語を読解する必要があるからです。さらに、臨床内容は多岐にわたるからです。また、日本では稀な疾患、異なる治療法、産婦人科や精神科のウエイトの違いなど、日本の国家試験やプラクティスとの違いもあります。
しかしながら、日本人のCK受験の全体像はあまり明らかになっていません。報告されていたとしても、ブログや執筆物には高得点を取った人が載りやすい出版バイアスがあります。しかしながら、良くない点数でも報告する価値はあると思います。なぜなら、高得点を取りたい人は私の例から注意点を学べるかもしれないからです。さらに、フェロー狙いの方は合格点への達し方を学ぶことができるかもしれないからです。そのため、決して良い点数ではありませんが、私の受験内容を記載します。
対策内容
目標
レジデンシーをアプライする予定でCKの準備を開始した際は250点を目標としていました。しかし、途中からライフプランの変更に伴い、今後のクリニカル・フェロー用の合格に目標を下方修正しました。
経過
2019年1月後半 UWORLD開始。亀のようなスピードで進む。
2020年5月 UWORLD1周目終了 正答率54.5% OME合計91講義受講
2020年6月 UWORLD2周目開始(不正解問題が正解になるまで)
2020年7月
本番25日前 USWA1 226点
本番14日前 UWORLD 2周目終了(不正解問題が正解になるまで)
USWA2 214点
OBGYNとPsychiatryをさらに1周を開始
本番5日前 Free120 73%
2020年7月31日 USMLE STEP 2 CK 本番 223点
UWORLD
UWORLD1周目に1年3カ月かかり、正答率は54.5%(Percentile rank 18 th)でありました。
上のグラフの通り、UWORLDを始めてからがなかなか進まず、計画よりも大幅に遅れました。
このとても遅い原因は、①1問当たりで読み返したり考える時間が長い、②ANKI作成の時間が長い、③1日当たりの解く問題数が少ない、等が考えられます。スピードを意識して解かないとズルズル遅くなります。
この低い正答率の主な原因は、下記の図から、産婦・小児科と精神科が考えられます。次に、内科や外科での苦手分野も要因です。
UWORLD2周目は約1カ月半で不正解問題が正解になるまで解きました。
2周目終了後、苦手なOBGYNとPsychiatryを更に解き直しました。
OME
UWORLDを解く前に、OMEのdermatology, endocrine, gastroenterology, hematology, neurology, OBGYNの合計91講義を受講しました。
OMEの受講に時間がかかったのと、UWORLDに反映されていない内容もあったため、受講予定であった小児や精神科の受講をやめました。
OMEとUWORLDの順番は、UWORLD解く→OME(時間があり弱点補強したい場合)の順番が良いと思います。
ANKI
不正解問題で間違えたポイントをANKIのカードにしました。
ANKIのスタイル
カードのスタイルは試行錯誤して、UWORLDの問題をシンプルにする形式になりました。具体的には、下の図のように、UWORLDのセンテンスからエッセンスだけBulletスタイルで取り出し、自分が悩んだ選択肢の解答から答えを選ぶ形です。そして、解答の根拠も参照できるようにUWORLDの解答をスクショして貼り付けます。
なぜこのスタイルになったかと言うと、実践で活きる形で復習したいからです。例えば、「Zenker’s Diverticulumの検査は?」というような単純に聞くスタイルで復習しても、実際の問題で解けません。単純に知識だけ知っていても、問題文の読解力と迷う他の選択肢を切り捨てる力が無いと解けないからです。そのため、このようなスタイルになりました。
ANKIの復習方法
STEP2 CKというDeckを作成し、上限100枚を設定して解いていました。
カードが増えていくと1日のノルマが追い付かなります。実際、私はかなりカードをため込んでしまい、思ったように復習できない時がありました。そのため、しっかり復習するにはやり方がが重要になります。
最終的に、一日のうちANKIに割ける時間分の上限枚数を設定し、週末や時間のある時に制限を解除して貯まったカードを消費するのが良いと思いました。
例えば、平日のうちANKIに30分を割けるとします。そして、30分で60枚の復習が出来るとします。仮に、忙しい週で毎日15分しか取り組めなかったとすると、週末までに300枚のカードが貯まります。その週末で、上限を解除して300枚を解けば、リセットされます。以前から貯めていたカードがあれば、さらに多くを解いてリセットします。
模試
NBMEがあまり当てにならないとの噂から、UWORLDが提供するUSWAとUSMLEが提供するFree120を解きました。結果は下記の通りです。
本番25日前 USWA1 226点
本番14日前 USWA2 214点
本番5日前 Free120 73%
本番の結果はUSWAの点数に近く、難易度も似たような感じでした。
そのため、USWAは本番の点数を推測するには役立ちます。UWORLDを終わった時点でUSWAを解いて現状把握するのがお勧めです。そして、苦手な分野の分析や対策に使用されると良いと思います。
直前期と当日
①UWORLDで苦手分野の復習、②ANKIでの総復習、③本番を想定した練習をメインに行いました。
詳しくは下記の記事を参照下さい。
結果
決して良い点数ではなく、平均点以下の223点で合格しました。
ただ、Primary Outcomeである合格を達成したので良しとします。
分野別のPerformanceも出ます。このPerfomanceはあくまでも自分の成績内で比較されるため、他者の成績も含めた全体の成績との比較ではありません。私の場合、専門の神経分野は高く、意外と、産婦人科や精神科は低くありませんでした。
反省点・分かったこと
最後に、反省点やこれから受ける人に注意した方が良いことを幾つか述べさせて頂きます。
UWORLDで合格するが1周目を早く解いた方が良い
UWORLDだけで合格は可能だと思います。しかし、UWORLD等の問題集を解くのがが遅くなれば、試験を受けるのがずるずると遅くなります。さらに、解くのが遅くて演習量が不十分であれば、成績も下がります。そのため、私のように遅く解かずに、なるべく早く解くように工夫すると良いです。
他人の対策内容を鵜呑みにせずにUWORLDの1周目の正答率や模試から対策を考える
UWORLDの1周目の正答率や模試が本番の成績と相関がありそうなため、それらを指標として対策を修正されると良いと思います。
例えば、私のようにUWORLDの1周目の正答率が低い場合、高得点を取るには補強すべき点が多いはずです。ここでマズいのは、UWORLDの1周目の正答率が高い人を参考にしていた場合、その人通りにそれ以上の対策をあまりせずに試験を受けてしまうことです。自分と他人とのギャップを考えずに取り組まれるのは危ないです。
高得点を狙う場合、UWORLDの1周目の正答率や模試を客観的に参考にして、弱点や改善点を自分なりに分析して取り組むのが良いと思います。
ANKIの作成に時間をかけ過ぎないが復習の習慣を守る
ANKIの作成を試行錯誤して色々と時間がかかってしまいましたが、シンプルかつ実践的なものを早く作成するのが大事だと思います。すでに述べたように、貯まってしまうカードを上手く消費出来るように、毎日の習慣づけと定期的な制限解除での借金返済をお勧めします。UWORLDに代わって使われ始めているAMBOSSはANKIと連携しているので、こちらが便利かもしれません。
最後に
USMLE STEP2 CKは決して簡単ではありませんが、UWORLDをしっかり解けば合格できます。より高得点を取りたい方は、他の高得点の方の対策を参考にされることをお勧めします。