デトロイトに行くというと,皆んなから「大丈夫か?」と聞かれます.
その感覚はとても正しいです.未だに犯罪率は高く油断は出来ません.
しかし,デトロイトはかつては栄光の都市であり,財政破綻後にカムバックシティとして復興と遂げて活気付いているため,気をつければ楽しく過ごすことも可能です.
デトロイトの治安と楽しみを述べさせて頂きます.
Contents
治安
統計から分かること
2019年のランキングでは,デトロイトはアメリカで6番目に危ない都市となっています.
Alarm.Org (最終アクセス2019/03/18)より引用
これがどれくらい危険なのかは実感が湧かないと思います.
2013年のデータですが,日本の大使館が日米の犯罪比較のグラフを作成していてかなり参考になります.比較すると実感しやすいです.
日本が安全すぎるのもあると思いますが,デトロイトは日本と比べて…
殺人率が64倍
強姦が80倍
強盗が241倍
傷害が57倍となっています.
とんでもなく高い数字です.
強盗の発生内容を見ると,
日本と比較して住宅における発生が多いのが特徴です.
窃盗の内容になると
車上ねらいと侵入窃盗が多く発生しており,職業的な窃盗犯の犯行が疑われます.
つまり,治安の悪いところでは家や車の中にいても安心はできません.
このため,富裕層はデトロイト市内ではなくて郊外にある別の市に住んでいます.
日本人が多く住むノバイはデトロイトと比較して凶悪犯罪率が0.3%で財産犯罪率が2.0%です.全く異なります.
2016年のFBI出典のデータから日本国総領事館作成したものを引用
僕は短期で車がなかったため,郊外ではなく,デトロイト市内のミッドタウンにある大学寮に住みました.
では,ミッドタウンの治安はどうでしょうか?
デトロイトを細かく見るとダウンタウン,ミッドタウン,その他の地域に分けられます.殺人が多いのは,廃墟が多くある中心街から離れたその他のエリアになります.中心地と8マイルの間でとても危険なエリアです.
2017年のデトロイト市出典のデータから日本国総領事館作成したものを引用
ダウンタウン,ミッドタウンは日中なら比較的安全とされています.
しかし,日中でも人通りの少ないところでは犯罪が生じています.ダウンタウンでも昼間でも驚くほど閑散としているところがあります.
Neighborhood Scout (最終アクセス2019/3/18)より引用
Crime Mapでは,ダウンタウン,ミッドタウンの方が危険になっているので,油断は出来ません.ミッドタウンで色がないところが,大学と病院内になっています.私は大学と病院内で生活していたため,比較的安全なエリアで過ごすことが出来ました.
実際に危なかったこと
注意していたのですが,私も怖い思いをしました.
モーターショーの帰りの夕方にダウンタウンを歩いていたら,麻薬中毒者っぽいホームレスに追いかけられたのです.
早足で逃げましたが,50m程追いかけられてスターバックスに入って逃げ切りました.この時のラテほどホッとした味はありません.昼間でしたが,人通りが少ない通りだったこと,夕方かつ雪が降り始めて暗かったことが悪かったのでしょう.油断は禁物です.
昼間でも危なそうなエリアには近づかないことをオススメします.
どのようにして危険を防げば良いのでしょうか?
犯罪対策
在デトロイト日本国総領事館の注意喚起がとても参考になります.
私も下記の5つを参考に行動していました.
(1)治安の悪いエリアには絶対に立ち入らない
ダウンタウン, ミッドタウンを除くエリアでは昼間であっても凶悪犯罪が多発しており, 地元のアメリカ人も立入りを避けています.これらエリアは廃墟が多い, 街並みが寂れた様子, 路上生活者が多いなど, 雰囲気として感じ取ることが できますので, これらの雰囲気を感じた際には, 速やかに来た道を引き返すなどしてください.特にミッドタウンは治安の悪い地域と隣接していますので注意して下さい. 地元の若者の中には, 観光客を「よそ者」と判断し, 自分たちのテリトリーを犯さないよう威嚇してくる者もいます.
(2)興味本位で廃墟に立ち入らない(廃墟を探さない)
過去には, 興味本位で廃墟に立入り地元の若者達とトラブルになり, 銃を向けられ威嚇された事案もありますので, 興味本位で立ち入らないよう注意して下さい.また、廃墟の多くは治安の悪いエリアにありますので, 廃墟を探さないよう注意して下さい.
(3)ダウンタウン/ミッドタウンでも深夜の外出は控える
昼間は人通りのあるダウンタウンやミッドタウンでも夜間は閑散となります。 同地域で発生している凶悪事件の大多数は夜間、特に深夜から未明にかけて発生していますので、これらのエリア内でも同時間帯の外出は控えるようにしてください.
(4)目立つ格好や貴重品をみせびらかすような行為は避ける
ダウンタウンやミッドタウン内でも海外からの観光客は少ない状態です. 路上生活者も多く, 声を掛けられることも頻繁にあります.犯罪のターゲットとなりやすい派手な服装や高価な貴金属を身につけることは避け, カメラ等も目立たないように携行してください.
(5)犯罪に遭った場合は抵抗しない
アメリカは銃社会で, 誰でも銃を所持している可能性があります.銃を突きつけられた場合は勿論, 置き引きや引ったくりなどでも追いかけないよう注意してください.多くの場合, 観光客をターゲットとした犯罪は金品を狙ったもので, 抵抗しなければ危害を加えられることはありません. 犯罪被害に遭った場合は, 相手の特徴、車両ナンバー等を可能な限り確認し, 自身の安全を確保した後に911(警察)通報してください.
きちん守れば身を守ることが出来ますので,5つのことを守ることを強くオススメします.
今までの話で萎縮してしまったかもしれませんが大丈夫です.
デトロイトにも素晴らしいところがあります!
在デトロイト日本国総領事館作成のデトロイトに旅行する皆様へ
デトロイト市内の楽しみ
治安の悪さに隠れてしまっていますが,デトロイトは素晴らしい様々なミュージアム,スポーツ施設,その他のスポットがあるため,魅力的な場所です.
美術館
ミッドタウンを中心に,デトロイト美術館,アフリカン・アメリカン歴史博物館,科学館,デトロイト現代美術館,ヘンリーフォード博物館,モータウン・ミュージアムがあります.全て見るには1週間が必要なくらいで充実しています.
その中で,私が気に入ったのはデトロイト現代美術館です.
2006年に設立された新しい美術館で,コンパクトでレンガの建物をリノベーションした雰囲気が良く,カフェが広くてゆったりすることが出来ます.もちろん展示も良かったです.
ビルディング
最も栄えていた時期に建てられた建物群です.
現存するものとしては,Fisher Building,Gurdian Building等が有名です.
Gurdian Buildingのツアーに参加して,歴史的解説に加えて,ゴシック調の美しい内装を見ることが出来ました.
こういう歴史的な建物が残っていると,かつての栄光を極めていた時代を感じ取ることだ出来ます.フォードが代表的な廃墟であるセントラル・ステーションを買収して再利用することになりましたし,今の時代では作れない建物を大切にする運動は続いて欲しいですね.
モニュメント
ダウンタウンの真ん中でデトロイト川に面したリバーフロントエリアに特徴的なモニュメントがあります.モニュメント自体も面白いのですが,北にGMルネッサンス・タワーで反対側がカナダと景色も良いです.
スポーツ
ダウンタウンの徒歩圏内に4大スポーツ(MLB, NBA, NFL, NHL)の球場が集まっています.2014年のSNSのデータからは一番人気はアイスホッケーのレッド・ウイングか野球のタイガースでしょうか.
Crain’s Detroit Business (最終アクセス 2019/03/20)より引用
病院でもタイガースをのグッズを持っている人が何人かいました.
残念ながらどのスポーツも観戦出来なかったのですが,機会があれば是非訪れることをオススメします.
イベント
様々なイベントが開催せれており,私はモーターショー.モンスター・ジャムを見ることが出来ました.Motor City Townに相応しいイベントです.ちなみにモータウンはMotor City Townを短くした造語です.
モーターショーはお膝元であるFordがメインブースで,GM,等のアメリカ自動車企業が盛んでした.トヨタ,日産,ホンダ,スバルも健在で,特にスープラ復活のブースは賑やかでした.デトロイトは他の都市と比較してアメ車が多い印象です.
モンスタージャムは大きいトラックが飛んだり,逆立ちしたり,バク転したりして競い合うイベントです.いかにも無茶な感じがアメリカらしくて観ていて爽快です.日本だったら生まれていないスポーツでしょう.
個人的にオススメスポット
Great Lakes Coffee
地元のコーヒー屋さんでローストが効きつつThird Waveのような酸味もある美味しいコーヒーを提供してくれます.アメリカのコーヒーは薄くあまり好みではないのですが,こちらのコーヒーは美味しかったです.スペシャリティコーヒーも扱っています.
Foundation Hotel
昔の消防署をリノベーションしたホテルでACE hotelのような感じです.日本の雑誌のBrutusのリノベーション特集で表紙として取り上げられていました.1階にレストラン・バー,地元のショップ,ラジオ局が入っていてハブ的な側面もあります.私はバーだけ利用したのですが,雰囲気も味も良い感じです.宿泊はもちろん,レストランやバーとしての利用もオススメします.
デトロイトは未だに危険ですが,栄光の時代と新しい復興が混ざった魅力ある都市です.注意して過ごせば十分楽しむことが出来ます.訪れる方はよく調べて観光することをオススメします.