留学

無給リサーチ・フェローの挑戦が始まる

大学生の時に臨床留学を志し,日常診療をしながら短期の留学を繰り返し,USMLEを少しずつ進めてきました.

そんな中,様々な方々の支えで,1年半の無給のリサーチ・フェローの機会を頂きました.無給とはいえ,大きなチャンスです.

このチャンスを活かして,臨床留学の実現,てんかん患者の幸せに関する臨床研究へ向けた新たな挑戦が始まります.

ありがとう,北海道

3年間を過ごした北海道を離れてアメリカのクリーブランドに到着しました.

札幌を離れるとき,良い思い出と感謝の気持ちで一杯の反面,とても寂しく,先行きが分からない不安な気持ちがありました.

 

大学6年生の時,臨床留学を目指すために手稲渓仁会病院に就職することを希望しました.個性豊かで優秀な同期,熱心な先輩後輩に恵まれてとても刺激的な毎日を過ごしながら, 医師の基礎を学ばせて頂きました.

忙しくてなかなか臨床留学の準備が進みませんでしたが,皆んなで臨床留学に向けて協力する雰囲気が非常に良かったです.OBの津島先生の繋がりで,今回のCase Western Reserve UniversityのEpilepsyのリサーチ・フェローとして行けることになりました.

津島先生を初め,チャンスを下さった先生方に本当に感謝しています.

 

 

【デトロイトの留学中にクリーブランドへのリサーチフェローが決まった経緯】

Wayne State University 短期研究留学 まとめ  あっという間の3ヶ月間でした.   研究,臨床,キャリアの3つに新たな考えを得られた実りある滞在でした.   そして,次に...

 

急ピッチの準備

2月のデトロイト短期留学中に7月からクリーブランドに行けることが決まったので,そこから急ピッチで準備を進めました.旅行や短期留学とは異なり,日本の非居住者で米国の居住者になるため,全てが初めての手続きで大変でした.

資金問題,ビザ,住居,健康保険,引っ越し,役所手続き…等の諸問題を一つずつクリアする必要があります.特に資金問題,ビザ,健康保険が大変でした.妻,両親,職場の先生方には色々な協力を頂いたので,本当に感謝しております.直前まで調整を続けて何とか出国することができました.

到着後も生活のセットアップに取り込んでいます.アパートは大学近くに決まり,後はソーシャルセキュリティ番号,銀行口座開設,携帯電話契約,家具や生活雑貨の購入を一つずつ行って行きます.

 

無給リサーチフェローの内容とは

脳波判読と臨床研究になります.最初の2ヶ月間でInternational EEG/Epilepsy Courseを受けて,みっちりと脳波読影の仕方を学びます.指導医のLuders先生がCliveland Clinicでこのコースを開催して,その後,Case Western Reserve Universityで継続されているものです.京都大学の池田先生を初め,日本のてんかん診療を引っ張る先生方が受講している歴史と実績のあるコースになります.

コース受講後,9月からEpilepsyのチームに加わって,ひたすら毎日,脳波判読のレポートを書きます.脳波判読に加えて,てんかんの臨床研究に携わります.僕のテーマは頭蓋内電極(SEEG)の解析になります.その他に,自分の興味がある「てんかん患者さんの幸福度を上げる診療モデル」に関する研究をすることです.その2つの研究を形にしたいです.

無給で保険もついてませんが,非常に教育的で実践的な内容なため,価値があると思います.貪欲に学んでいきたいと思います.

 

マッチングの準備

2020年のNeurology Residency Programにマッチすることを目標に準備を進めています.具体的には,2019年の11月にCS, 2020年の3月にCKを受験する予定です.手稲渓仁会病院のDavid先生のレッスンはSkypeで継続します.

ECFMG取得以外に,リサーチフェローは重要なステップであります.何故なら,私のようにSTEP1の点数が低い者には,リサーチフェローが研究実績,推薦状,英語への慣れという点でとても価値あるからです.昨年,中国人,インド人のIMGが私と同様にこのコースを受講してリサーチで残り,マッチングに参加しています.

アンマッチの場合

アンマッチしたとしても,米国に残る手段を考えています.何故なら,30代は米国で可能な限り挑戦して多くのことを学びたいからです.残りながらマッチングを継続したいと考えています.そのため,幾つかの手段を考えています.

クリニカルフェロー

リサーチフェローからクリニカルフェローに変更してマッチングを継続する形です.クリニカルフェローはコネクションとポジションの空き次第なので,自分が臨床で使える存在だと認められれば,施設毎である程度は融通がきく可能性があります.一番良い形はCase Western Reserve Universityでクリニカルフェローとして残ることです.

しかし,問題点があります.私が日本の専門医の資格を持っていないことです.病院によって日本の専門医を求めるところがあるからです.この場合,日本の初期研修終了証と米国のリサーチフェローの経験から,Clinical NeurophysiologyのInternational Boardを取得したいと考えています.これには学会(Clinical Neurophysiology)の確認が必要なため,確認しておこうと思います.

リサーチフェローの延長

1年半を2年半~3年に延長して研究を続けながら再度マッチングにチャレンジすることです.何故なら,2回目でマッチした諸先生方を多くみているからです.1回で諦めたくありません.2回まではチャレンジしたいです.

しかし,問題点は資金になります.そのため,なるべく長期滞在出来るように生活コストを抑える取り組みをしています.幸い,クリーブランドは物価が安い土地です.

大学院入学

アメリカの博士課程に入学して研究を継続するという形です.何故なら,米国の厳しいトレーニングでPrinciple Investigatorとしての能力を獲得したいからです.しかし,キャリア的に専門医取得の大幅な遅れとなってしまうのが欠点です.

さらに問題点は,3月にアンマッチと分かっても大学院受験には遅いことです.そのため,最短で行くにはマッチングと大学院受験を同時にする必要があります.同時に行うことはかなり大変なため,現実的には厳しいかと考えています.もしくは,リサーチフェローを延長して2021年に大学院受験するかです.

帰国して日本の後期研修

アンマッチが分かった後に日本へ帰国して後期研修を継続する形です.これは最も避けたいことです.何故なら,せっかく留学したのに1年半で帰るのは勿体無いですし,米国でしか学ぶことのできないことをもっと学びたいからです.日本を離れて米国に移住することは予想以上の労力が必要でした.1年半では元を取れない気がします.

最近,日本でのキャリアよりも「今,ここでしかチャレンジできないことに集中する」ことに重きを置いています.一般的なキャリアを追って出世を目指すよりも,一生学び続ける成長マインドセットに従って遠回りしながら進み続ける方が楽しいのでは?と思っています.

最後に

学び続ける姿勢を持ち続けながら,研究,脳波読影,マッチングで結果を出せるように集中して取り組みます.このチャンスを与えて下さった諸先生方,支えてくれた家族には心から感謝しています.